2018年01月19日

2018ACL出場チーム紹介 上海上港、天津権健

そろそろプレーオフも近いので、まず下記2チームから

■上海上港 Shanghai SIPG (リーグ戦2位)

・概要
2005年に元代表監督徐根宝が私費投じ創設した上海東亜が原点で、中乙(3部)からスタートし2013年に中超昇格。
その後国有の港湾業者である上港グループ(SIPG)が資本参加し2015年エリクソン監督&コンカ、ギャンらを獲得し2位に躍進。2016年はギャンを切って4700万£でフッキ、新監督にビラスボアス、そして年末にオスカルを6000万£で引抜いて全世界に名を轟かせた。年俸・移籍金などの年間支出は既に広州恒大を上回っており、そろそろ初タイトルが欲しいところ。
すっかり金満化してしまったが元々育成型クラブ。現主力の大半は下部組織出身で、張琳芃(恒大)など他クラブにも多く排出。

・ACL戦績 
3年連続3回目、16年ベスト8、17年ベスト4、いずれも優勝チームに敗退しているが初出場から2大会連続ベスト8以上進出は立派。今年こそ更に上の成績が欲しい。

・監督
ヴィトール・ペレイラ(Vítor Pereira)
前監督ビラスボアス(André Villas-Boas)は無冠に終わったこともあり年末に辞任。後任のペレイラは、かつてFCポルトでもビラスボアスの後任を務めたことがありうってつけの人材。サウジのアルアハリでも指揮経験がある。
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・移籍
東アジア選手権で2得点の韦世豪はレンタル満了により退団も、同じくU23枠の若手アタッカーとして、昨年レンタル先河南でリーグ新人王の胡靖航(Hu Jinghang)が復帰。
元ポルトガル代表リカルド・カルバリョの退団は短期契約でもあり想定内。
代わりにブラジルへレンタルされていたダリオ・コンカが復帰。

・外国人
FW フッキ(Hulk)元ブラジル代表
昨年はリーグ17得点。実績、能力とも文句なしだがその高すぎる能力故にエゴイストになる嫌いがあり、彼を封じられると機能しなくなる場面も多い。良くも悪くもチームを左右する存在。
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MF オスカル(Oscar)元ブラジル代表
全世界を驚かせた6000万£(約86億円)、アジア最高額で加入した1年目は乱闘騒ぎで8試合出場停止になるなどネガティブな話題も多く、金額分の働きをしたとは言い難く、批判にさらされている。
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MF オディル・アフメドフ(Oil Ahmedov)ウズベキスタン代表
700万ユーロでクラスノダールから加入したウズベキスタン代表主将。潤滑油として攻守に貢献度が高く、アジア枠受難の時代に昨年後半はエウケソンを追いやりスタメンに定着し大きく評価を上げている。
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FW エウケソン(Elkeson)ブラジル
広州恒大時代から名を挙げたが、昨年は外人枠削減もあって出番を大きく減らした。かつての僚友コンカの帰還でACL登録メンバー入りも危うい(投稿時点で未定)
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MFダリオ・コンカ(Dario Conca) アルゼンチン
南米、アジアで名を挙げたファンタジスタも既に35歳、昨年レンタルされたフラメンゴでは怪我もあり2試合出場に留まり往年の輝きが見れるかは不安。
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・その他注目選手
FW武磊(Wu Lei)
下部組織出身でチームのシンボル。主に2列目ながら2部時代から7年連続リーグ戦2桁得点。昨年はリーグ戦でキャリアハイの20得点を記録し2年連続AFC年間最優秀選手の最終候補にノミネートされ代表でもエース格に。上港でタイトル獲得することを優先し噂された欧州移籍を否定。
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DF王燊超(Wang Shenchao)
下部組織出身のキャプテン。メインは左SBだが、CB、右SB、ボランチも対応するマルチロール。
昨年リッピによりアジア最終予選で代表デビューも果たした。
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・予想フォーメーション

------------------Hulk--------------------
武磊----------Oscar----------呂文君
----Ahmedov-------蔡慧康--------
王燊超---賀慣--石柯----傅歓
--------------顔駿凌----------





■天津権健 Tianjin Quanjian (リーグ戦3位)

・概要
前身は2006年創立の天津松江(07年は呼和浩特でリーグ参加)、2部で燻ってた。2015年に食品・医薬品などを取扱う権健グループがスポンサー入り。
(その際の経緯は孫可の欄を参照)
翌16年に監督ルシェンブルゴ、元セレソンのルイス・ファビアーノ、ジャジソンらを補強。ルシェンブルゴは半ばで解任されたが後任ファビオ・カンナバーロの元で中超昇格。
17年はパト、ヴィツェルの他にも中国代表クラスを多く獲得し、昇格1年目で3位に入りACL出場権を獲得した。スター選手をさることながら多くの若手選手を起用したカンナバーロ監督は多くの称賛を集めたがシーズン終了後に退任し、パウロ・ソウザ新監督とバトンタッチ。


・ACL戦績 
初出場


・監督
パウロ・ソウザ(Paulo Sousa)
現役時代ポルトガル代表やユベントス・ドルトムント等で多くの実績を残し、監督転身後も前職のフィオレンティーナで実績を残した。昨年末にカンナバーロ退任に伴い後任に就任。
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・移籍
ロシアW杯予選8得点のFW楊旭(Yang Xu)が合流(昨年加入し、遼寧へレンタルされていた)
贅沢税や外人枠の関係もあり大型外人の加入はなし。


・外国人
FW アレシャンドレ・パト(Alexandre Pato)元ブラジル代表
かつてミランなどで活躍した神童、加入1年目は10番でリーグ戦15得点と貢献。モデスト加入でCFのポジションを争う。
SNSを頻繁に更新、昨年序盤にPK失敗後上海申花の孫世林に煽られたが、孫の誕生日にSNS上で祝賀メッセージ送り器の大きさを見せた。
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MF アクセル・ヴィツェル(Axel Witsel)ベルギー代表
ユベントスを蹴って、パトと共に昨年鳴り物入りで加入。攻守の軸として不可欠な存在で、パウリーニョの広州恒大→バルセロナ移籍時に【ヴィツェルならわかるけど・・】という声があったほど。
ベルギー代表でも主力でロシアW杯出場が有望視されている。
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FW アンソニー・モデスト (Modeste)フランス
ケルンで大迫勇也と組み、16/17シーズンブンデスリーガ得点ランク3位。昨夏に権健に加入したが、贅沢税回避のためレンタルとして加入し、完全移籍のオプションとして移籍金2800万€(約40億円)支払われる見込み。
途中加入&パトの存在もあったが1年目は8試合7得点と短い時間で結果を出した。
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DF クォン・キョンウォン(Kwon Kyung-won 権敬源)韓国代表
全北現代出身で、UAEのアルアハリでACL準優勝に貢献し昨年加入。不動のCBとして活躍し、昨年末には韓国代表デビューを果たした。中盤にも対応可能。
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・その他注目選手
MF 趙旭日(Zhao Xuri)
広州恒大でアジア制覇経験したボランチ。権健でもレギュラーで貢献し32歳にして恒大時代の恩師リッピにより代表復帰した。
03年第一回東アジア選手権に17歳で代表デビューし、昨年末の同大会では代表キャプテンマークを巻いた。
代議士と不倫で有名になった倉持弁護士に似ていると思う。
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MF 張修維(Zhang Xiuwei)
フランス・リヨンの下部組織出身、U19、U22代表で10番を務め、昨年もカンナバーロに寵愛受け「中国のモドリッチ」と将来嘱望された攻撃的MFだが、
昨夏に飲酒運転事故を起こし減俸&謹慎状態。更生した姿を見たいところ
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FW 孫可(Sun Ke)
2015年アジアカップで3得点、技術や得点力は高くないが献身的なプレーが魅力の【中国版岡崎】。
15年夏、彼の獲得を巡り勃発した移籍騒動の詳細は下記参照。
http://guojiadui.seesaa.net/article/422764630.html
天津泰達が江蘇から彼を獲得⇒1スポンサーの独断で泰達は獲得を拒否⇒スポンサーが別クラブを買収し、翌年から孫が加入
要は彼を獲得するために、権健というチームができた。
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・予想フォーメーション

−−−−−Pato(Modeste)−−−−−−
鄭達倫−−王永珀−−−孫可
----------Witsel-- 趙旭日--------
糜昊倫-----Kwon−劉奕鳴----張誠
--------------張鷺----------


posted by ZZ at 17:23| Comment(0) | 中超リーグ・ACL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中国クラブの収支状況

収支状況について、昨年暮れに見つけたデータをご紹介(いずれも昨年11月時点)

http://k.sina.com.cn/article_2810373291_a782e4ab0420086z3.html?cre=sportspagepc&mod=f&loc=2&r=9&doct=0&rfunc=2&tj=none

中国サッカー協会は会計士事務所に依頼し各クラブの財務させたところ、以下のデータが出た。

2016年中超各クラブの損失は合計40億元(680億円)2部中甲は8億(136億円)
中超の平均収入4.4億元(75億円)支出6.9億元(117億円)各クラブ平均で2.5億元(42億円)の損失。

・割合
平均的な割合は以下
収入:スポンサー収入64%、試合賞金14%、移籍金収入11%、政府助成金6%、チケット収入3%,其他2%
支出:人件費67%,償却費18%,育成費用5%(新政要求15%),管理費3%,試合運営費1%,其他6%

・格差
格差も大きく、収入最多(恐らく広州恒大)/最少(恐らく延辺富徳)チームの収入格差は50倍
支払コストも最多(恐らく上海上港)と最少では38倍の格差があると。

・人件費
やはりというか人件費が大部分。67%という数字は英プレミア(58%)仏リーグ1(56%)独ブンデスリーガ1部(42%)と比べても高い。
給与は勿論、ボーナスの締める割合もかなり大きい。ビッグマッチの前に【●●はこの一戦に▲百万元のボーナスを・・】は日常茶飯事

・移籍金
移籍金支出のうち78%が外国人選手、収入は逆で中国人選手が81%。
多くの場合高額で外国人選手を買っても高額につき売却困難で、契約解除や満了退団など満足いく移籍金を得られるケースが少ないためか

・育成
協会はU23枠を導入するなど育成を重視し始めているが、協会の要求する15%の基準にはまだ届かない。

この結果に中国足球協会の張剣副主席は、中国選手の給与、移籍金は口頭しており、今回の調査を通じて
財務面をコントロールする制度を準備する旨の発言を行っている。

既に外国人枠削減に始まり移籍金制限(贅沢税)、U23枠、と協会の【バブル抑止策】は動いている。
上記結果踏まえ、更なる抑止策が検討されていると推測。

まあそもそも主に金を使ってる上位クラブ、国有クラブは営利目的ではない。
採算度外視の為やりたい放題できるので、健全経営のJとは違う。

ピッチ内外で最も成功している広州恒大ですら【数年内に黒字化】を目標に掲げている。
(最近オーバメヤン獲得の噂をオフィシャルに否定したのも、U23の有望株囲い込み始めてる点からも、その方針は推測できる)

一方で本体の恒大地産は年々増収増益を重ね、オーナー許家印は最近フォーブス誌の長者ランキングで中国No.1長者になった。まあそういうことなのであろう

posted by ZZ at 15:03| Comment(0) | 中超リーグ・ACL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

2018年国内リーグの規則変更発表 U23 ≥ 外国人

■2018年国内リーグの規則変更発表

既報の通り、中国足球協会は2018年中超・中甲リーグの諸々変更を発表
概要は以下の通り

・外国人選手は、リーグ登録可能5人→4人に削減。出場選手は中超は1試合3人のままだが、中甲は3→2人に削減。
・かつU23選手(1995年以降生まれ)の1試合起用人数は、外国人選手を下回ってはならない。U23選手 ≥ 外国人選手
ということ

どちらも2017年に施行された政策の継続、強化。【中国人選手の育成、レベル向上】という観点での施策だが、興行面でマイナスは大きい。
単純に能力の高い外国人選手が、若い未熟な自国選手になることで、エンターテイメント性は落ちるだろう。
各クラブは既に保有している外国人選手を【処理】せねばならなくなる。移籍金得て円満に移籍するケースは多くない、違約金払って契約解除などクラブ側も痛手を被るだろう。

【U23】という枠組みも賛否両論で、例えば1994年生まれの選手は2018年には対象外になる。せっかく2017年に経験を積んだのが無意味になるかもしれない。

24歳以上の選手の生存が厳しくなる。1試合出場最大14人のうち、外国人3人+U23も3人となると、残る枠を大多数の24歳以上選手で争わねばならない。
こうした選手たちの大量失業が懸念されている。


・VAR導入

ビデオ審判(Video Assistant Referee)の導入、中国人審判の質の悪さと、選手監督たちの気性のせいか、審判絡みで毎週のように問題が発生している中で
理解できる決断。公平な試合進行に繋がることを期待。
また17年終盤に頻繁にあった外国人主審の招聘も継続するとのこと。


・クラブ名称中性化

3年以内にクラブ名称を中性化、要は企業名をとれ!ということ

中国では原則都市名+スポンサー名がクラブ名になっているが、頻繁にスポンサー交代がありコロコロ変わる。
最近だと上海東亜→上海上港、江蘇舜天→江蘇蘇寧、など。
他国のようにクラブ名称を安定させることで、はサポーター集団とサポーター文化を培う、、、とのこと。

考えは理解できるけども、スポンサーにとっては宣伝効果が大幅に減ることにもなり、資金投入の収縮に繋がらないといいが。



・香港、マカオ、台湾選手(港澳台)を各チーム1名獲得できる *但し帰化選手は除く

自国選手の新規獲得は1年に6名までという制限があり、港澳台選手はそれと別になるということ。

中国ならではの特殊なトピックス。港澳台は公式見解では同じ国であるが、香港澳門は特別行政区であり中国本土(大陸)人は入国にパスポートが必要で通貨も通信キャリアも違う。
台湾も同じ状況で実質別の国になっている。サッカーにおいても各々の協会がある(西に英国四協会、東に中国四協会、、)

港澳台の選手は元々【内援】、自国選手扱いとなっていたが、レベルが高くないこともあり、2000年代以前に大陸のリーグで活躍したのは呉偉超(Ng Waichu)くらいか。

増えたのは2010年代以降で、2010-2015年の6年で計19名の港澳台選手(マカオはゼロ)が中超・中甲に在籍している。増加要因は帰化・二重国籍選手の増加。
代表的な選手は貴州人和に在籍した陳昌源(Xavier Chen,台湾代表、ベルギーU21代表歴あり)、貴州智誠のFestus Baise(香港代表、ナイジェリア出身)、長春亜泰の殷亞吉(Yaki Yen、台湾代表、スペインとのハーフ)
、、と帰化選手や二重国籍の選手が多い。(2017年でいえば7/12人が該当)

香港・台湾が近年帰化・二重国籍選手を増やして躍進したこと、更にロシアW杯予選で中国が香港に苦戦したこともあり、廉価で自国扱いに港澳台の帰化選手が流入した。
その途端2015年末に中国協会は規則を改め、港澳台選手を外国人扱い(AFC加盟協会なので、日本韓国などと同様にアジア枠扱い)に変更した経緯がある。

この施策は非常に疑問。
まず帰化選手以外の港澳台選手は実質ほぼ需要がないので、実質締出し政策。
かつ【純血】の港澳台選手を優遇するメリットが疑問。前述のようにU23枠で24歳以上の中国人選手が厳しい状況になっているのに。
まあ要はそれだけ外人選手を締出したいということなのかなと


・贅沢税は継続

2017年に発表済の【贅沢税】即ち、選手獲得時に移籍金が一定額を超えた場合に、移籍金と同額を育成費の名目で協会に上納する制度
(外国人選手は4500万人民元、中国人選手は2000万人民元)
実際この制度が始まった昨年夏は高額移籍金の発生する移籍は激減し、この【爆買い抑止策】は結構な効果があったのは確か。

外国人もそうだけど、中国人選手が高騰しすぎ。それが中国人選手の欧州移籍を妨げている要因になっている。
昨年ホッフェンハイムが武磊獲得に動いた所、上海上港は市場評価額の10倍以上の金額を提示し破断した。


まあ、急激かつ頻繁に規則が変わるのはこの国の良い所でもあり悪い所でもあるが
いつか実を結べばいいと思う。
posted by ZZ at 13:30| Comment(0) | 中超リーグ・ACL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする